世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR/内澤旬子
書影提供:版元ドットコム
書籍情報
タイトル: 世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR
著者:内澤旬子(ウチザワジュンコ)
出版社:KADOKAWA
発売日:2011/5/22
ISBN-13:978-4043943951
概要
世界各地の屠畜場に赴き、軽快な文章とイラストで動物がお店に並ぶ「お肉」になるまでを描いたルポルタージュ
感想
屠畜に関わる人に差別心を抱いたことも、差別する人も身の回りにいなかったからそもそも差別があることすら知らなかった
知らなかったということは差別がない、というわけでなく牛や豚、鳥などの生き物を屠殺している人がいるという当たり前の認識が抜け落ちていたとも言える
肉を食べるのであれば避けては通れない屠殺だが、どのような手順で、どれくらいの衛生環境でされているかは分からなかった
それがリアルだけど味わい深いイラストで描かれていてとても分かりやすかった
日本でのBSE問題もプロフェッショナル達が物凄く細かく検査をして食の安全を守ってくれている
肉料理がある当たり前の食卓は彼らの力なしでは維持できないだろうなと強く感じた
読んでいてい世界の屠畜現場も含め、時には嫌がられながらも体当たりで取材をしていく著者のタフさに圧倒される
印象深い話はたくさんあったが、その中でも特に韓国の話がすごく心に残った
韓国の屠畜場はBSE問題もあってとても衛生的で見学コースも設けられているくらいだったが、肉の市場マジャンドンでは露骨に嫌がられ、写真もイラストも拒否されていた
犬肉(ポシンタン)に関しても韓国内でも極端な扱いのように感じた
動物愛護精神を持った人たちは断固拒否、虐待だという、一方で若者が犬肉のネット通販をしていてそれを買っている韓国人も多い
とはいえこの犬肉のネット通販ウリミートは2005年10月から営業を停止している
韓国では犬肉を食べてもいいという法律もなければ、食べてはいけないという法律もない状態で、ウリミートは犬肉が食用として法的に認められるのを待っている状態だという
犬肉を食べたいか食べたくないかと聞かれたら、食べたいと答えるかもしれない
でもいざ目の前に出されたとき口に運べるかどうかは分からない
口に運べても噛んで嚥下することができるか....
一口食べて美味しいと感じればきっとバクバクいけてしまうような気もしている
個人的にはマジャンドンで働いていたヤンさんとの再会後が気になる
マジャンドンを辞めたあとキリスト系の大学に通い、そこでできた彼女にはマジャンドンで働いていたことを言わず大企業で働いていたと言っていたヤンさん
彼女と幸せになれているのだろうか....
気になった本
「神の杖」鄭棟柱 解放出版
「朝鮮の食べもの」鄭大聲 築地書館
「沖縄の豚と山羊」島袋正敏 ひるぎ社おきなわ文庫
「ドキュメント屠場」鎌田慧 岩波新書
「沖縄トイレ世替わり」平川宗隆 ボーダーインク
「東方見便録」斉藤政喜 文集文庫
「差別語からはいる言語学入門」田中克彦 明石書店
「解剖男」遠藤秀紀 講談社現代新書
「コリアン部落」上原善広 ミリオン出発

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